高校生の扶養控除を縮小

報道によれば、政府は高校生の扶養控除を縮小することを検討しているとのことです。(東京新聞WEB

所得税の仕組みでは、一年分の所得から、「所得控除」というグループを差し引きした後の金額(課税所得といいます)に、税率をかけて、年間の所得税を計算します。扶養控除は、この所得控除の一種です。

なぜ縮小か、といえば、高校生も児童手当の支給対象(月額1万円)となるためだといいます。

扶養控除縮小の影響

児童手当が12万円支給されるのですから、現行38万円の扶養控除を廃止したとしても、負担が増えるのは、33%の税率が適用される課税所得900万円以上の人だけです。これは年収に換算すると1500万以上になるでしょう。

これ以下の所得の人(つまり大多数)の人は、給付があるので、増税があっても、差し引きでは、収入が増えます。

扶養控除縮小の幅が未定ですから、給付と増税の差がどうなるか不明ですが、比較的高額な所得の人は、給付と増税がほとんど変わらないということもあるでしょう。 “高校生の扶養控除を縮小” の続きを読む

扶養控除、配偶者控除は必要ですか

以前は、考える余裕がなかったが、実務から遠ざかると「あの制度は何のためだったのか」と思うことがある。所得税の「扶養控除」「配偶者控除」も、その一つである。

扶養家族がいると税金が安いという制度

令和5年版源泉徴収税額表の給与20万(社会保険料控除後)の税額をみると、扶養0で、4770円、扶養1で、3140円、扶養2で、1530円となっており、扶養3以上はゼロである。

扶養なしが、一番税金がたかく、扶養人数が多いと税金は安くなる。その理由は所得税法の「配偶者控除」「扶養控除」にある。

これは公平なのかという疑問

20代、30代の人、特に独身の方に「同じ給料なのに、扶養の有無で税金が違うことをどう思いますか」と質問したら、どういう答が返ってくるのだろうか。「同一給料ならば、税金も同額にすべき」または、「扶養家族がいる家庭は、それだけ税金を使っているのだから、多くすべき」という意見すらあるかもしれない。

内閣府の推定では、2040年の生涯未婚率(50歳で未婚の人)は、男性3割、女性2割弱である。家族のあり方も大きく変化している。

20代の頃、初めて先輩に税額表の見方を教わったとき「扶養家族が多いと生活費もかさむし、税金の仕組みは面白い」と、納得したが、最近、「公平」の基準は、ひとそれぞれで、「扶養家族がいる人のほうが、税金が安いこと」を、公平と思わない人も相当いるのだろうと思うようになった。 “扶養控除、配偶者控除は必要ですか” の続きを読む