なぜ「一億円の壁」は崩れないのか

一億円の壁とは

年間所得が一億円を超えると、実効税率が減る。原因は金融所得の分離課税にある。ネットで「一億円の壁」と検索すると、次のような記事かみつかる.。
与党税制改正から消えた「富裕層1億円の壁」のナゾ
金融所得課税と“1億円の壁”の打破

所得1億円を超えると、税負担率が下がるときけば、「なんで」と思い、「そんなバカな」という反応が一般的であろう。多くの人が問題視するが、これが変わることはない。なぜなのだろうか。

所得税法の理念から逸脱する金融所得税制

所得税法には、「所得税は、こうあるべき」という理念がある。この理念は、租税特別措置法によって、浸食されているが、その中心は「総合課税主義」と、「累進税率」であり、ルーツは、シャウプ勧告にある。
金融所得の分離課税と定率軽課は、総合課税主義に反し、累進税率が適用されない。所得税法の理念からの逸脱である。 “なぜ「一億円の壁」は崩れないのか” の続きを読む

還付金を立替払いする小さな会社(住宅ローン控除)

住宅ローン控除では、2年目以後は給与支払者が還付する仕組みである。この還付金を事業者が立替払いしている事例があるが、あまり知られていない。
仕組みはこうだ。2年目以後は、住宅ローン控除の還付金相当額を年末調整時に、給与支払者(事業主:会社)が、支払う。この原資は、他の従業員からの源泉税の「預り金」である。ところが、数名規模の会社では、この「預り金」が、還付すべき金額に足りないということが、ままある。

こうなると、事業主は立て替えて払わざるをえない。この立替分は、次回支払う源泉税から差し引くが、数名規模の会社にとって、10万円、20万円は、とても大きな負担である。 “還付金を立替払いする小さな会社(住宅ローン控除)” の続きを読む