「滞納処分停止」の申請ができるようにすること

税金が払うに払えない状況に陥ることは多くの人に可能性がある。しかし自己破産してサラ金やクレジットの債務が免責になっても税金は破産法で「非免責債権」とされているため税金が免除となることはない。

とくに住民税や国保料(税)などは、前年の所得が基準となって課税されるため、失業者に重くのしかかる。私が衝撃を受けたのは、借金苦から強盗殺人事件を起こした犯人の「借金」にサラ金やクレジットだけでなく住民税や国保が結構大きな比重を占めていたという報道に接したときである。

ではこのような状態に陥ってしまったときに救済手段はないのかというと、国税徴収法には、「滞納処分停止」という規定がある。税務署長は職権で「滞納処分」を停止することができる。滞納処分とは、督促から始まり差押え、換価(競売など)で終わる一連の手続きのことである。税務署長の職権で滞納処分が停止されると事態に変化がなければ、3年間の時間経過で、この国税に関する国の債権は消滅する。この3年は「除斥期間」であり「時効」と違って、債務者(滞納者)の援用を要しない。つまり絶対的に国の債権は消滅する。

なお国税徴収法(及び地方税法の同様の規定)は、射程が広く社会保険料や国保税の滞納にも適用される。

滞納処分停止処分とは

税務署長は、滞納者につき下記の事由があるとき滞納処分の執行を停止することができる(国税徴収法153条)。
(1)徴収すべき財産がないとき。
(2)滞納処分の執行等をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
(3)その所在及び滞納処分の執行等をすることができる財産がともに不明であるとき。

この処分がなされると差し押さえ財産があれば差し押さえが解除され、事態に変化がなければ3年間の時間の経過によって滞納国税に対する国の債権は消滅する。

滞納処分停止は申請できない

しかし、破産手続きから除外され、最後の救済手段である「滞納処分停止」は、もっぱら税務署長の職権によっておこなわれる「処分」であって、申立や申請をすることはできない。また、税務署長がこの停止処分を行わないからといって、訴訟を起こすこともできない。

サラ金やクレジットの多重債務では、「自己破産」という言葉が一般化しているように、債務者自らが、破産の申立をすることができるが、こと税金に関しては、そのような制度がない。

滞納処分停止の申請ができるようにすること

現に滞納処分によって生活が窮迫状態に追い込まれる可能性がある者にとって、滞納処分停止処分は、いわば最後の砦であるが、問題は滞納処分停止処分の申請が制度として存在しておらず、税務署長の職権によって行う処分であることである。

この最後の砦の権限は、税務署長であり、納税者(滞納者)側は、滞納処分停止要件に当てはまる状況であったとしても、滞納処分停止を申請することができない。処分権者である税務署長は、申請がなければ、滞納者がどのような状態におかれているか、知ることができない。

申請制度が創設されれば、税務署長は職権で、申請者の財産状態、生活状況を調査し、理由があると認められるときは、滞納処分を停止し、理由がないと認められるときは、申請を却下すればよい。滞納処分停止を求めることが権利として規定されるならば、請求棄却に対して不服審査に持ち込むこと、さらには行政訴訟で争うことも可能となる。これによって、要件が明確になっていく。行政の公平、透明化という意味でも、滞納処分停止に申請制度を創設すべき考える。

平成26年改正で、従来職権による処分のみであった換価の猶予について、申請による換価の猶予制度が創設された(国税庁151条の2)。滞納処分停止処分についても同様に申請制度を創設すべきである。

2022/04/17